歴代の「情報通信技術賞(総務大臣表彰)」

「情報通信技術賞」の総務大臣表彰の歴代の受賞者のリスト(一覧)です。情報通信技術賞は、通信技術の標準化に貢献した人に贈られます。 このうち総務大臣表彰は、最も権威のある最高賞となっています。2004年度に創設されました。毎年6月ごろに発表されます。 主催は「情報通信技術委員会」(TTC)です。(島田雄貴)

2010年代

受賞者 所属 理由
2019 川添雄彦
(かわぞえ・かつひこ)
NTT 新たな映像サービスの開発・標準化及び普及活動への貢献
田中俊昭
(たなか・としあき)
KDDI 暗号及び認証技術にかかる研究開発・標準化及び実用化への貢献
2018 釼吉薫
(けんよし・かおる)
情報通信研究機構 ITU-T、ASTAP及び ETSIにおける国際標準化推進への貢献
庭野栄一
(にわの・えいかず)
NTT ICカードシステムの高度化に関する研究開発・標準化及び実用化への貢献
2017 内藤悠史
(ないとう・ゆうし)
三菱電機 マルチメディア通信技術及びアプリケーションの標準化推進への貢献
真野浩
(まの・ひろし)
コーデンテクノインフォ 無線LAN(IEEE 802. 11)に関する標準化活動への貢献
村井純
(むらい・じゅん)
慶應大学 インターネットの標準化及び普及に関する先導的かつ社会的な活動への貢献
2016 加納貞彦
(かのう・さだひこ)
早稲田大学 デジタル通信網に関する国際標準化への貢献
森田直孝
(もりた・なおたか)
NTT 次世代網(NGN)から将来網(FN)にわたる通信網アーキテクチャに関する標準化への貢献
2015 冨田茂
(とみた・しげる)
NTTアドバンステクノロジ 光ファイバケーブルの国際標準化活動への貢献
山﨑徳和
(やまさき・のりかず)
KDDI oneM2M及び3GPP2における標準化の推進への貢献
2014 岡村治男
(おかむら・はるお)
グローバルプラン 長距離高速光通信技術に関する標準化並びにITU-Tの標準化戦略及び体制の改革推進への貢献
野田繁
(のだ・しげる)
富士通 移動通信ネットワークの国際標準化活動への貢献
2013 藤原塩和
(ふじわら・しおかず)
NTTドコモ 電話番号等識別子体系の標準化及び普及活動への貢献
村井美富
(むらい・よしとみ)
元日本アルカテル・ルーセント アジア太平洋地域及び日中韓3国における標準化活動の推進への貢献
尾中寛
(おなか・ひろし)
富士通 100G光COEプロジェクト・100ギガビット光通信技術の実用化及び標準化活動への貢献
富澤将人
(とみざわ・まさひと)
NTT
福知清
(ふくち・きよし)
NEC
水落隆司
(みずおち・たかし)
三菱電機
2012 服部光男
(はっとり・みつお)
NTTアドバンステクノロジ 通信システムの電磁防護及びEMCに関する標準化活動への貢献
2011 太田幸一
(おおた・こういち)
富士通 伝送及び加入者システムの標準化活動への貢献
岸上順一
(きしがみ・じゅんいち)
NTT IPTV(IPテレビ)等のコンテンツ流通サービスに関連する研究開発及び標準化活動への貢献
2010 松本修一
(まつもと・しゅういち)
KDDI研究所 デジタルテレビ伝送の研究開発及び標準化活動への貢献
山下孚
(やました・まこと)
元日本ITU協会 マルチメディア分野における標準化の推進

2000年代

受賞者 所属 理由
2009 清水博一
(しみず・ひろかず)
元情報通信ネットワーク産業協会 電気通信アクセシビリティガイドラインの国際標準の策定及び高度通信システム相互接続推進会議(HATS)の相互接続試験の推進
藤井伸朗
(ふじい・のぶお)
NTTアドバンステクノロジ 通信網運用保守システム技術の開発及びその標準の策定への貢献
2008 津田俊隆
(つだ・としたか)
富士通研究所 広帯域伝送技術及び映像符号化技術に関する標準の策定への貢献
富田修二
(とみた・しゅうじ)
日本情報通信 データ通信方式に関する標準の策定及びその実用化への貢献
内藤悠史
(ないとう・ゆうし)
三菱電機 マルチメディア通信技術に関する国際標準の策定への貢献
2007 松本充司
(まつもと・みつじ)
早稲田大学大学院 マルチメディアシステムの研究実用化と国際標準の策定への貢献
村上仁己
(むらかみ・ひとみ)
成蹊大学 高能率符号化の研究開発とテレビデジタル伝送への応用。標準化活動への貢献
2006 松本潤
(まつもと・じゅん)
KDDI 国際回線設計法の研究実用化及び情報通信分野における標準化活動への貢献
2005 北見憲一
(きたみ・けんいち)
東京工科大学 デジタルネットワーク制御のプロトコル(手順)分野における研究開発及び情報通信分野における標準化活動
2004 青山友紀
(あおやま・とものり)
東京大学大学院 デジタル信号処理と光ネットワークシステムの分野での研究実用化、それらにかかわる標準化活動
淺谷耕一
(あさたに・こういち)
工学院大学 高速広帯域通信のためのデジタルアクセス網などの研究実用化とその国際標準の作成
池田佳和
(いけだ・よしかず)
東京工業大学 家庭などを結ぶ加入者系ブロードバンドアクセスを円滑に行うためのDSL(デジタル加入者線)スペクトル管理方式などの標準化の作成

アジア攻める配車アプリの軋轢(2019年2月4日、日経Biz)

ゴジェックの参入拒否

フィリピンの規制当局がインドネシアのライドシェア・配車サービス大手、ゴジェックの参入申請を拒否した。

国内のタクシー業界を守りたい意向が透けるが、既に浸透しているサービスへのニーズは下火にならない。

当局の規制と新産業を望む消費者の声とがせめぎ合う。ライドシェアを原則禁止とする日本の出遅れは鮮明だ。

地場資本を60%以上とする外資規制

当局によるゴジェックの参入拒否は2019年1月9日に明らかになった。ゴジェックのフィリピン子会社が地場資本を60%以上とする外資規制を満たしていないのが理由という。首都マニラでは「グラブしかなく不便。ゴジェックが来るのを楽しみにしていた」(中堅企業役員)と落胆する声が聞かれた。

グラブが市場の9割前後を握る

フィリピンのライドシェア・配車サービスはシンガポールを拠点とするグラブが市場の9割前後を握る。2018年3月に米ウーバー・テクノロジーズの東南アジア事業をグラブが買収すると発表し、両社が顧客を奪い合う域内の環境は「グラブ一強」へと変わった。プレーヤーが減れば、利用料金が高止まりし、使える自動車も減っていく。

深刻な交通渋滞の悪化を懸念

域内の他国ではゴジェックのような大手も育ち、グラブとの競争は続いている。その中でフィリピンはゴジェックの参入を拒否。外資規制という理由を額面通りに受け止める向きは少なく、タクシー産業への影響や、マニラで深刻な交通渋滞の悪化を懸念したのではないかと受け止められている。

市民の不満

マニラではゴジェックの動きに料金やサービスを巡る競争を喚起するだけでない期待があった。当局によるライドシェアの台数制限の緩和をゴジェックが働きかけるとみられていた。それがついえ、寡占の継続に市民の不満は募る。ゴジェックは「規制当局などとの前向きな交渉を続け、フィリピンの人々が必要とする交通手段を提供する機会を引き続き探る」とコメントしている。

「バイクシェア救え」14万人署名

既存の秩序や産業を守りたい規制当局と、新しいサービスを持ち込む新興企業が衝突する構図はフィリピンも日本も変わらない。異なるのはフィリピンでは既にライドシェア・配車アプリが市民の足として定着していることだ。

地場ベンチャー、アンカス

ウーバーが去った2018年、フィリピンではバイクのライドシェア・配車を手掛ける地場ベンチャー、アンカスが事業を広げ、自動車に代わる移動手段として利便性をアピールした。だがフィリピンではバイクのタクシー営業が禁じられている。安全な交通手段と言えないというのが当局の見方で、2018年末にフィリピンの最高裁判所はアンカスとドライバーへの取り締まりを認める方針を示した。

バイクタクシーに関するルール作り

これに対し、米国発の署名呼び掛けサイトで「フィリピンのバイクタクシーに関するルール作りをサポートしよう」という呼びかけが起こり、14万人以上が賛同したという。2018年12月半ばにはアンカスのドライバー数千人がマニラで抗議活動を起こしている。

ライドシェア・配車サービスの拡充を求める声

ライドシェア・配車サービスの拡充を求める声を規制当局が無視し続けるのは難しいだろう。サービス事業者、利用者、規制当局、それに既存のタクシー業界は衝突を繰り返しながらも共存共栄できる道を模索すると思われる。

日本はライドシェア原則禁止

硬直した規制でライドシェア自体が原則禁止されている日本ではこうした議論が起きる余地すらない。ゴジェックを巡るフィリピンでの騒動は、徐々にでも規制が緩和され、新産業が育つプロセスのように映る。

北日本貿易と中国(2010年9月、島田雄貴)

電機や自動車の関連企業が集中し、中国の貿易黒字の約半分をかせぐ広東省。6月下旬の週末の夜。広州市内の日系自動車部品メーカーは、寮内で集会が繰り返され、不穏な空気が流れた。

 翌朝、始業時になっても工員たちはラインにつかず、出荷するトラックの前に座り込んだ。「在庫をぎりぎりにする日本流のアキレス腱(けん)をつかれた。だが首謀者も、誰と作業復帰を交渉すればいいのかもわからなかった」と日本人幹部。4月に10%上げた初任給を2割上積みして収めた。ホンダの部品工場(仏山市)を皮切りに5月に始まった賃上げストは断続的に続く。

 「内陸部が成長を先導し始め、沿岸部へ出稼ぎに来なくても仕事はあるし、一人っ子の若者は仕送りより、自分の生活を楽しむ金が足りない様子だ」。高賃金の工場へ転々とする売り手市場への様変わりに企業は当惑気味だ。

 政府や広州市は内需主導などを掲げ、賃金引き上げを後押しする。広州の最低賃金は昨年の860元が今年は1100元に。大手自動車会社はその2、3倍で人手を奪い合う。「安い労働力と人民元のもとで、作ればもうかり、税金も払わずにすんだ天国のような時代は終わった」。輸出工場団地の日系企業幹部はいう。

イーアクセスがサービス開始(2007年3月、東亜通信社ニュース)

国内第4の携帯電話会社

2007年3月31日、イー・アクセスが国内第4の携帯電話会社としてサービスを始める。新規参入で息巻くのは、イー・アクセスの千本倖生会長兼CEO(最高経営責任者)だ。

子会社イー・モバイル
3大ガリバーに挑む

売上高600億円で、ADSL(非対称デジタル加入者線)サービスを手がけるベンチャー企業が、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの“国内3大ガリバー”に挑む。イー・アクセスの子会社、イー・モバイルが、その実行部隊となる。

携帯電話で実績ゼロ

日本の携帯電話業界にとって、実に13年ぶりの新規参入。それにしても、携帯電話でほとんど実績のない企業が本当にサービスを始められるのか。

「世界を見ろ」と千本倖生会長

事業展開への不安点について、イーアクセスの千本倖生会長(イー・モバイルも兼務)は「既存の通信会社の常識に汚染されているんだよ。我々は世界で勝っているものを使ってサービスを提供するんだ。世界を見なさい」と語る。

「FOMA」に1兆円

通信は巨大なインフラ産業だ。ドコモは、現在の主流となっている3G(第3世代)携帯電話の規格に準拠した「FOMA」のサービスの基盤を整備するために、2001年度からの3年間で1兆円を投資した。その後もエリア拡大などに伴う投資を重ね、累計の投資額は2兆円を超えている。

ネットワークに3600億円

イー・アクセスの売上高はドコモの80分の1。そのベンチャーが、ドコモと同じ土俵に上がる。千本会長がかき集めた資金はドコモの初期投資額の3分の1の3600億円。これで全国にネットワークを張り巡らすという。無謀と見るのが一般的だろう。

「日本は世界の何十分の1の規模」

だが千本会長の自信は揺るがない。「これまでの通信会社は日本しか見ていなかった。今や日本は世界の何十分の1の規模の市場でしかないということに気づくべきなんだ。本当に良くて安いものは日本の外にある」

電電ファミリーの富士通やNEC

ドコモは「電電ファミリー」と呼ばれた富士通やNECなどのシステム機器会社、端末メーカーとの親密な関係を前提に、通信会社主導のビジネスモデルを構築してきた。千本会長はこれを「閉じた世界」と切り捨てる。

3Gの技術に「日の丸」は無関係

3Gの技術は世界中に広がっている。「日の丸」であるかどうかは関係ない。性能が優れていて、量産化で価格が下がっているものを広く集めれば、安くて信頼できるサービスが提供できる。しがらみのない新参者にとっては、これこそが強みになる。

中国の華為(ファーウェイ)が基地局

国際連合

千本会長が世界中から集めてきたパートナーは、「国際連合」と呼ぶにふさわしい錚々たる顔ぶれだ。

半導体はクアルコム

端末は画質の鮮明さに定評があるシャープ製。その端末に搭載するOS(基本ソフト)は米マイクロソフト、半導体は「携帯業界のインテル」と呼ばれる米クアルコムが提供する。

基地局は、エリクソンと華為が担当

さらに通信電波の基地局は、スウェーデンのエリクソンと中国の華為技術(ファーウェイ)が地域を分担して供給する。

米ゴールドマンも出資

それだけではない。資金面でも、米ゴールドマン・サックス(GS)が400億円、シンガポール政府系投資会社のテマセク・ホールディングスが120億円を出資している。

目玉は、華為技術

通信事業はネットワークの信頼性と低コスト運営の両立が命。その意味では基地局で世界トップのエリクソンに加え、目玉は華為技術(ファーウェイ)だ。

中国企業は「安かろう、悪かろう」?

中国企業と聞いて「安かろう、悪かろう」と想像するのは早計だ。

ファーウェイの社員の半分は研究開発部門

華為技術(ファーウェイ)は6万2000人いる社員の48%が研究開発部門という技術重視の通信設備メーカー。品質、価格の両面でエリクソンを脅かす存在として業界にその名をとどろかせている。

基地局の容積

日本の携帯通信会社が、基地局網を全国に張り巡らせた当初は、基地局の本体が小型トラックほどの容積があり、クレーンを使わなければビルの屋上に設置できなかった。

日本支社の閻力(ヤンリーダ)大社長

だが現在、華為技術(ファーウェイ)が製造する基地局は「冷蔵庫」ほどの大きさ。設置場所の賃料や電気代などの運営コストも、以前の約10分の1で収まるという。ファーウェイ日本支社の閻力(ヤンリーダ)大社長は「技術もコストも自信がある」と話す。

イー・アクセスの経営陣

千本倖生会長とは

イー・アクセスの千本倖生会長は通信業界でよく知られる人物だ。「彼の行くところに値下げあり」と言われ、これまでも通信の業界秩序を破壊してきた。

第二電電の共同創業者
京セラ稲盛和夫社長を口説き落とす

1984年には京セラの稲盛和夫社長(当時、現最高顧問)を口説いて、日本電信電話公社の独占を打ち破るべく、第二電電(現在のKDDI)を創業。PHS事業の立ち上げにも経営陣の1人として参画している。

ADSLを広める伝道師

99年に独立してイー・アクセスを創業すると、日本でADSLを広める伝道師の役割を果たした。

孫正義社長に主役を奪われる

ただ、第二電電では稲盛氏の陰に隠れ、ADSLではソフトバンクの孫正義社長に主役の座を奪われた。主役になりきれない男が、捲土重来を期す。

「一生に一度のチャンス」

「これは一生のうちにぶつかれるかどうかの大きなチャンスなんだ」。千本会長はこう決意を語る。

最速の高速モバイル通信

今回、イー・モバイルは、携帯電話で実現できる通信速度としては最速となる下り最大3.6メガビット(メガは100万)という高速モバイル通信を提供する。

エリアは、東京、大阪、名古屋

まずは東京、大阪、名古屋などの大都市圏で高速のモバイルデータ通信に限定してサービスを展開。その後、地域を広げながら2008年3月に音声通話サービスを始める。2010年には自前の全国ネットワークを構築する。

料金は使い放題で月額5980円
定額制

料金は使い放題で月額5980円。データ通信専用端末は既存の大手3社とも発売しているが、通信料は従量制が主流。PHSのデータ通信料金と比べても安い。価格インパクトはある。

インフラの参入障壁が崩れる

インフラという最も参入障壁の高かった分野でさえ、閉ざされていた扉は開き始めている。

携帯電話でも価格破壊か

固定電話、固定のインターネット接続で繰り返されてきた価格破壊の歴史が、いよいよ携帯電話でも起ころうとしているのか。

通信業界の激震

流れはもう戻らない。通信業界が激震に襲われるのは、避けられない。このことは世界でリスクと格闘してきたマイクロソフトやゴールドマンサックス(GS)などのパートナーたちが一番よく分かっているはずだ。(東亜通信社ニュース)

イーアクセス(イー・モバイル)の国際連合の顔ぶれ

社名内容
エリクソンスウェーデン基地局供給
華為技術(ファーウェイ)中国基地局供給
テマセクシンガポール120億円を出資
シャープ日本端末を開発
クアルコムアメリカ半導体を供給
マイクロソフトアメリカOSを供給
ゴールドマン・サックスアメリカ400億円を出資

華為技術(非上場)がスマホ市場で成長(2013年11月、島田雄貴)

日本ではイー・アクセスの提携企業の一つである中国の華為技術(ファーウェイ)が、スマートフォン(スマホ)販売で成長しています。(2013年11月、島田雄貴)

ファーウェイ

華為技術(ファーウェイ)は、中国の通信機器最大手で、スウェーデン・エリクソンを抜き世界最大のメーカーに成長した。基地局などから事業をスタートしたが、最近はスマートフォンでも存在感を発揮。2013年7-9月期の世界シェアは4・8%と米アップルに次ぐ3位の座にある。イー・アクセス傘下のイー・モバイルに基地局を納入した企業として知られる。非上場企業のため、株価は不明。日本法人は、ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本株式会社)。

ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本株式会社)

最高経営責任者(CEO)の任正非氏が深センで創業、中国農村部への設備納入で実績を積み、中国全土へ拡大。その後は大手メーカーが手薄だったアフリカや南米など新興国を開拓する戦略が成功した。アフリカでの通信機器のシェアは25%を超える。

イー・アクセスに基地局納入

日本には2006年にイー・アクセス傘下のイー・モバイルに基地局を納入し、本格参入。2012年にはNTTドコモからスマホも発売した。同社の強さは徹底した現地化と意思決定の速さ。例えば東日本大震災直後に海外企業が日本から社員を引き上げる中、逆に被災地に技術者を次々送り込むなど商機に敏感だ。

アメリカでスパイ疑惑も

当初は廉価版機器が強かったが、開発型企業に転身、国際特許の出願件数は世界3位を誇る。一方で、最近は通信設備を使ったスパイ行為疑惑などでアメリカとの摩擦も起こっている。

【1989年】通商摩擦軽減策を模索するアメリカ

1990年代のアメリカ経済における、IT業界・通信業界の歴史を振り返ります。

ハイテク技術中心の通商摩擦の軽減策は

アメリカの貿易赤字は1990年以降縮小に向かうかどうか危惧されるが、ハイテク技術中心の通商摩擦の軽減策が見出せるかがポイントになる。

MITによる『メイド・イン・アメリカ』

アメリカ産業の再生策・・・マサチューセッツ工科大学(MIT)は1989年、『メイド・イン・アメリカ』なる報告書でアメリカ製造業の強化策をまとめた。

6つのステップ

大型の研究開発プロジェクト中心では本質的な解決にならず、アメリカ企業にとっての問題は、発明・発見の成果をいかに迅速に製品化するかにあると分析したうえで、研究開発の進め方から教育水準の向上までの6つのステップが提案されている。

総合的品質管理(TQC)手法

これはわが国で成果をあげた総合的品質管理(TQC)手法の拡大版であり、意識革命を伴うだけに、根づくまでには相当の長期間を要しよう

日本の研究投資総額は10兆円超

日本の研究開発動向・・・・・将来に備えた研究開発の先行投資が最近わが国で急増しており、1988年度の研究投資総額は10兆円を超え、GNP対比でも2.8%と、主要国間で未到の3%に迫ろうとしている。

日本の研究開発費の特徴

主要先進国に対して、わが国の研究開発費の特徴は、産業界の負担が異常に高く80%に近いこと、反面、政府の投資がGNP対比0.5%と極端に低いこと(欧米諸国で1%程度)である。

日本の基礎研究の弱体化を懸念

民間の研究開発費はリスクの高い基礎研究には向かず、相対的に日本の基礎研究の弱体化を懸念する声が強い。

科学技術の競争激化

民間の研究開発費はリスクの高い基礎研究には向かず、相対的に日本の基礎研究の弱体化を懸念する声が強い。

アメリカ特許登録件数の激増

その予兆の一端はすでに、アメリカ特許登録件数の国籍別ないし企業別統計の推移のなかで、日本による集中豪雨的な攻勢として現われている。(東亜通信社ニュース)

インドシナ情勢の展望(東亜通信社)

1990年代のインドシナ情勢の展望について、1989年出稿のレポートです。

ベトナムの経済恐慌が転換期を迎える

カンボジア問題の調停、中ソの緊張緩和
インドシナ諸国

戦乱と対外的な閉鎖性に象徴されてきたインドシナ諸国、なかでもその盟主たるベトナムを中心に新たな動きが見られる。ASEANによるカンボジア問題の調停、ソ連のゴルバチョフ書記長の訪中実現による中ソの緊張緩和、さらにベトナム軍のカンボジアからの撤退は、インドシナ情勢に大転換の可能性をもたらしている。30年に及ぶ解放闘争を経て、1976年に悲願の統一を達成したベトナムは、1970年代後半に凶作に見舞われ、復員兵力の失業問題を抱えたまま1970年代末から1980年代初頭にかけて経済恐慌に陥った。

1986年12月のベトナム共産党第6回大会
中国の援助停止

さらにソ連・東欧からの援助の減少、中国の援助停止、中越紛争、また自らの冒険主義にもとつくカンボジア侵攻、そしてそれに伴う西側の経済封鎖などにより、ベトナムは厳しい国際環境に身をおくこととなった。そのベトナムが方向転換を見せたのは、1986年12月のベトナム共産党第6回大会である。

革新的な政策
前ホーチミン市党委員会書記グェン・バン・リン

ここで「経済思考の刷新」がスローガンとして打ち出され、解放闘争を戦い抜いた革命老幹部に代わって、資本主義的なセンスを有する前ホーチミン市党委員会書記グェン・バン・リンを書記長とする新指導部が成立した。グェン・バン・リン政権は、(1)「経済主要三プログラム」(食糧・食品、消費財、輸出産業の優先的発展)、(2)「4つの縮小」(財政赤字、通貨膨張、物価高騰、生活難の縮小)、(3)非社会主義(附資本主義)的要素の導入など、「刷新」にふさわしい革新的な政策を相次いで打ち出した。(東亜通信社)